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2007年3月26日 (月)

お墓参り

今月は夫の父の命日でもあります。先日の春彼岸、お墓参りに行って来ました。

墓地は春になると桜が一面に咲き誇る場所で有名です。当初、彼岸には桜が開花するとの予想を聞いていましたから、お彼岸にお花見ができるねと、義姉と喜んでいました。

しかし当然ながら自然は人間の思い通りになってくれません。開花予想はずれこみ、当日の桜はまだ小さなつぼみ。それでも外は快晴。梅の木の下、やわらなかな春の日差しの下で、義母の手作りのおいなりさんと手巻き寿司のお弁当をいただきました。

彼岸が訪れるたびに義父のことを思い出します。そういえば、Mental Circus時代にも同じタイトルの記事を書いたことがありました。あのころのことを思い出しつつ、今日はその記事を再掲したいと思います。

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2005年9月24日 掲載

お彼岸の昨日は、みんなで義父のお墓参り。

墓地にはたくさんの人が来ていた。久しぶりに日差しの強い午後だったので、汗をかきながらお墓をきれいにした(といっても、ほとんど義母と義姉が頑張っていたのだが)。

義父の病が発覚したのは私たちの結婚前。私の実家へ、遠路はるばる婚約のあいさつに来てくれたすぐあとだった。検査入院に引き続きすぐ闘病生活に入った。結婚式を延ばすことも検討したが、式への参列が闘病の励みになると考え、予定通りに執り行った。義父は病院から外泊許可をもらっての参列だった。

余命は病気の発見とともに本人へ告知されていた。義父は、少なくとも私の目から見る限り気丈に振舞っていた。葬式はこうしろ、親戚への連絡先はこれと、家族のなかでは自分のほかに唯一の男である息子へ細かく指示していた。さらに、自らの意志で尊厳死協会に入会し、辛い延命措置をきっぱりと拒否した。

その義父の姿は、息子である私の夫のこころに深い思いを残したようだった。葬儀の挨拶で夫は言った。「男はこうであるべきだという姿を、最後に父が見せてくれたような気がしています」と。

闘病中、一度だけ私の両親が田舎から見舞いに来た。それまで私は両親の見舞いをずっと拒んでいた。遠いところからわざわざ訪ねに来るなんて、いよいよ自分はダメなのではないか――という気持ちを義父に持たせたくなかったからだ。

しかしある日、母から「昨夜、夢にお義父さんが出てきた。白い顔をして、何かを訴えていたみたい」という電話があった。母のカンはいつも鋭い。私はとうとう答えた。「わかった。お互い、後悔がないようにしたほうがいいよね」。

義父本人にはもちろん、義母にも余計な気を使わせたくなかったので、お忍びでの訪問となった。だから私の両親が病室に現れたとき、義父はとても驚いた顔をして、けれども私の両親と固く握手を交わし、こう言った。「こんなことになってしまって・・・息子を、家族を、よろしくお願いします」。最後の声は聞き取れないほど小さくなっていた。義父は泣いていたのだ。

夫を義父の元に残し、私と両親は病室を出た。エレベータに乗った途端、我慢していた涙が私の目からこぼれ落ちた。父がつぶやいた。「お義父さん、自分でわかっているだけに辛いよな」。私は言った。「お義父さんが泣いたの、初めて見た」。母の目からも涙があふれていた。

病気を告知された一年後の同じ日、義父はこの世を去った。

競馬が好きな人だった。歩けなくなったあとも、競馬新聞を自分の足で買いに行くと言い張り妻や息子を困らせていた。私は少しでも義父の慰めになればと、競走馬のぬいぐるみのキーホルダーを買って届けた。キーホルダーは亡くなるその瞬間まで、病室の棚の取っ手にぶら下げられていた。

当時はお墓の用意がなかったので、市営墓地への当選が決まったときは家族みんなで喜んだ。義父が生前、「俺、ここに入りたいなあ」と言っていた場所でもあった。緑が多く、春には桜並木が見事な花を咲かせる。良心的な石屋さんにも巡り会えた。墓地を見学に行ったとき、夫がたまたま声をかけた石屋さんだった。すべては義父が導いてくれたのかもしれない。

お墓の前で手を合わせ、私はこころの中でお願いした。「お義父さん、夫を、あなたの息子を守ってください」。

義父の強さは、夫のなかに確実に宿っている。少なくとも私はそう信じている。

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